学生、卒業、社会人として仕事、結婚
そして子育て・・・大変なことも色々と
あったけれど、1人の男として人生で
やるべきことは、もはや全てやり遂げた
よくやったじゃないか・・・俺は
今までの自分の過去に想いを巡らせて
無事に定年退職を迎えたその男は
夜の中野新橋の街を歩いていました
そんな時にふと、どこかの店から
ジャズの生演奏の音が聞こえてきます
音を辿っていくと、そこにあったのは
星屑と三日月というMusic Barでした
店から流れる音に吸い込まれるように
男は入口のドアを開けて入店しました
店内では2人の男性ジャズユニットが
往年の名曲の生演奏をしています
カウンターで演奏を眺めているうちに
学生時代にジャズの演奏をしていた
自分の姿がありありと甦ってきました
そしてふと、こんなことを思います
「・・・よくやっただって?
じゃあお前はこれから何をするんだ?
もう人生のエンドロールに入るのか?」
ジャズの生演奏を聴いているうちに
男のその胸の内から熱い想いがどんどん
こみ上げてくるのが抑えられません
「終わり…これで俺のやるべきことは
本当に終わってしまったのか?」
サックスとピアノの音色が激しく交差し
男は思わず両手のこぶしを強く握ります
「違う!お前の・・・お前の人生は
まだこれからだ!!そうだろ?」
気がつくと男は、ジャズの演奏を終えた
2人の若者に声をかけていました
2016年11月3日、小竹 伸也さんは
銀座TACTにて実に40年ぶりのライブを
開催するという決意をしました
そして、この日は80人以上もの友人や
知人たちが彼の新しいチャレンジの
応援をしに全国から駆けつけたのです
あの運命の夜に小竹さんは
こう考えることもできたはずです
「いや、しかし俺ももう年だ・・・
40年ぶりの楽器なんてとても・・・
それに世間はどう思うだろうか?」
奥さん、子供たちにもこの想いを
うまく説明できるか分かりません
衝動を打ち消すような否定的な葛藤
近所のお店で好きなジャズの生演奏を
聴くだけという選択もあったはずです
しかし、小竹さんはそんな葛藤の中で
≪ライブをやる≫という選択をしました
自分の中で、こんな結論が出たそうです
「今ここでやらなければ
俺はきっと一生やることはない」
実際、その通りだったと思います
この重要な「やる」というタイミング
どんな人にも必ず訪れるものです
しかし多くの人は「やらない」という
選択をして自分の中で納得させます
そうすれば「失敗」も無いからです
何かにチャレンジするということは
失敗するリスクも同時に背負います
その恐怖を制したものは何でしょうか?
やはり小竹さんが最後の最後で選んだ
強い決意と意思であったと思います
そんな決意の強さを示すかのように
当日は赤タオルを首にかけて登場します
40年ぶりとは思えない見事な演奏を
次から次へとステージで披露していき
コンサート会場の客席では驚いている
表情をしている人さえいました
このライブが無ければ小竹さんの
この一面をこれから先ずっと見る機会が
無かった人達もきっといたはずです
これだけの観客を前にしてジャズという
ジャンルの演奏をするのはかなりの
プレッシャーがあったとは思いますが
本当に素晴らしいライブでした
バースデーライブということもあり
この日は両手で抱えきれないほどの
たくさんのプレゼントを受け取りました
あの夜の決意、そして選択が無ければ
この光景もきっと見れませんでした
こんな奇跡のライブに立ち会えた人は
とても幸運だったのかもしれません
1人の男が人生の中で
重要な決断を迫られて
それを実際にやってのけた
生の現場を目撃することが
できたのですから
このライブが終わりではない
と小竹さんもきっと思っているはずです
ここから更に充実した音楽活動を
まだまだ続けていっていただきたいと
心から応援させていただきます
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