2枚目の肖像画に描かれていた本当の姿
31日 7月 2025
シンディは北斎から自分が描かれた和紙を受け取る。 そして真剣な顔つきで、しばらくそれを見ていた。 僕は彼女の背後からその絵をのぞく。す、スゴイ…。 1時間でこんな絵が描けるのか。しかも北斎は何枚も 描いて、その中から最終的にこの絵を選んでいる。 北斎の机の周りに落ちた和紙を数えてみると、いち にぃ、さん…10枚以上あるな。1枚あたり5分弱か。 『...

人生経験が豊富なしたたかな男の演説にやられる
28日 7月 2025
北斎の背後では壁一面のモナリザが微笑んでいる。 『 鶏がエサもらって、喜んで突っついてんじゃねぇ。 俺達はな、エサ撒くんだよ、大衆を喜ばせんだよ 』 し〜ん、と部屋が静まり返る。北斎は咳払いをした。 『 とはいえ、だ。これだけスゲエ奴らが世界中に 沢山いることを知れただけでも嬉しいじゃねぇか 』 そしてニヤリと笑う 『...

北斎が語った絵師としての誇り高き心構え
24日 7月 2025
スマホから投影されたピカソの作品が壁に映ると 部屋の空気がピン、と張り詰める。この時代だと ピカソのゲルニカは理解されないかもしれないな。 『 これは…戦か 』 北斎はアゴに手をあて静かに呟く。 『 だな、変わった描き方だけんど、すごい絵だ 』 お栄さんも筆を止めピカソの絵をしげしげと眺めた。 わかるのか、さすがだな。天才親子の感性に脱帽だ。 『...

忍術という言葉で全ての疑問をクリアに解決
21日 7月 2025
『 次!モネの睡蓮!』 『 うおぉ〜!』 『 すっげー!』 シンディが作品を次々と壁一面に映し出していく。 それに呼応し北斎とお栄さんが彼女の肖像画を描く。 『 顔まで描いたぞ 』 北斎はすでに興奮状態だった。 『 オッケー!次、ミケランジェロのダビデ像出力!』 『 了解!』 彼女の命令でディランは3Dプリンターを...

ついに北斎を未来のチカラで説き伏せる!
17日 7月 2025
彼女の声と共に壁に映し出された絵が切り替わった。 今度は夜景と夜空が描かれた油絵、ゴッホの作品か。 『 う・・・ 』 ここで北斎の反応が明らかに変わる。 さっきまでの不機嫌そうな表情が職人の顔になった。 『 な、なんだこの絵!こんな描き方みたことねぇ!』 お栄さんは夢中でその絵を色々な角度から見ている。 『...

描いたはずのない自分の作品を前に戸惑う北斎
17日 7月 2025
シンディがそう言うと壁に大きな赤い富士が現れた。 青空に羊雲が浮かび、爽やかな印象を演出している。 『 これは・・・』 北斎は壁に手をあて当惑していた。 『 この絵、おとっつぁんの画名が入ってるねぇ… 』 お栄は絵を眺めて呑気に言った 『 いつ描いたのさ?』 『 描いてねぇ… 』 『 え?』 お栄の声がひっくり返る。 『...

全てを暴露したあとに力強いプレゼン開始!
10日 7月 2025
・・・この女、ついに開きなおりやがった。 案の定、北斎やお栄さんたちは呆気にとられている。 『 み、未来って何です?』 北渓さんが恐る恐る聞く。 『 ・・・ 』シンディは仁王立ちしたまま腕を組んだ。 この時代に未来という言葉は一般的ではないようだ。 彼女は指を2つ立てて言った。『 200年後のこと 』 ここで部屋の空気がザワついた。異様な空気になる。...

今までの苦労が水の泡になってからの開き直り宣言
10日 7月 2025
『 おい、将軍さまの御前だ。こちらにひかえろ 』 北斎はお栄の発言を制し、自分の横に座るよう促す。 お栄はキョトンとした顔で北斎と家斉を交互に見た。 『 ハァ、え、えぇ〜!将軍さま!?え、だって さっき将軍さまの行列が飛鳥山に向かって・・・』 う…マズい。どうやら彼女は本物の方を見たようだ。 北斎はそれを聞くと、眉間にシワを寄せて僕を見る。 『...

絵師の生き様を見せた北斎の覚悟
03日 7月 2025
これは…想定外の事態だ。和紙が散乱する部屋の 下座で平伏する北斎を前に、僕は返す言葉を失った。 『 よ、よきにはからえ 』 突如、その異変を察知して 取り乱したディランが喋りだした。意味が違うだろ。 『…は?』それを聞き北斎は不思議そうに顔を上げる。 『 く、苦しゅうない 』 『 あー!えー、と、北斎どの 』...

順調だった作戦がひっくり返った瞬間
30日 6月 2025
『 先生、ここでは人目につきますので中でお話を 』 僕は膝をつき、平伏している北斎の肩に手を置いた。 北斎は額を地面につけたままなかなか顔を上げない。 その肩は少し震えている。僕は北斎の耳元で言った。 『 先生、お忍びですので先程の無礼はご心配なく 』 すると北斎は少し顔を上げ、上目で僕を下から見る。...

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