
死霊使いのネクロンが呼んだゾンビやスケルトンは
せっせと互いに協力して宇宙船内の掃除をしている。
スケルトン2体が掃き掃除、ゾンビ3体は拭き掃除。
上から下にホコリを落とし、隅から綺麗にしていく。
『 掃除の基本わかってんなー 』 僕は感心して言った。
『 アンデッドを召使いとして雇う方も増えています 』
ネクロンは得意げにフッと笑みを浮かべて説明した。
『 どんな危険な作業をさせても死なないですから。
高所作業や放射能の危険エリアでの活動も可能。
さらに当然、兵士として彼らを雇う軍隊もいます 』
ネクロンは懐からパンフレットを取り出して言った。
そこにはこう書いてある 「 不死の便利屋ネクロン 」
『 アンタ商売やってんの? 』 シンディは呆れ顔だ。
『 ハイ、せっかくの不死ですから。活用しないと 』
そう言ってネクロンはフフッと笑う。最初の印象は
クールな感じだったけど、やり手のビジネスマンか。
『 マスター、これがメニュー表です。ご参考に 』
ネクロンは懐から用紙を出してシンディに手渡した。
グール、ファントム、ゴースト…ほんとにピザ屋の
チラシのような紙にアンデッドの名前が並んでいる。
お得なサンキューセット …セット商品まであんのか。
『 2万…5万 』シンディはブツブツと何か言っている。
『 アンタこれもしかして 』 彼女はチラシを指差した。
それに対しネクロンは会心の営業スマイルで答えた。
『 ハイ、マスター。ゾンビ3体、スケルトン2体で
今回のご請求は合計で5万ギル(税込)となります 』
シンディはその姿勢のまま、顔だけが引きつった。
『 すでに口座から引き落とし済みですのでご安心を 』