
モニター画面に映る不気味な影は肩を揺らして笑う。
青白く光る線が顔の輪郭を浮かび上がらせていた。
よく見てみると、角のように見えたのは王冠だった。
シンディの父親か…会ったことは無いけど噂通りだ。
悪魔星の王、残虐非道、目的の為に手段は選ばない。
そして敵対するものは情け容赦なく徹底的につぶす。
僕がアドリブ星にいた頃に聞いた話はそんな感じだ。
『 ハデスとは古い仲でな…お前の状況も知っている 』
シンディの父親は静かに威厳ある口調で話し出した。
その声はかすれて、喉が潰れているかのような声だ。
『 奴には貸しがある。お前が星に戻ってくるのなら
ハデス社との冥約を破棄させることもしてやろう… 』
シンディは腕組みして吐き捨てるようにこう言った。
『 フ◯◯◯ック!自分で仕組んどいてよく言うわ!』
そして彼女は父親に対して勢いよく中指を立てる。
『 あんな星には絶っっっ対に帰らない!!!』
僕とディラン、そして画面上のポレスリーさんも
呆気にとられた様子で彼女の暴挙を黙って見ていた。
シンディの父親、メガデスの片眉がピクリと上がる。
『 何が不満だ?皇女としての椅子も用意してある。
お前のワガママも散々きいてきた。大人になれ 』
どうやら父親はよほど娘に帰ってきて欲しいらしい。
しかしシンディは肩をすくめ大げさに首を横に振る。
『 ムリ、ムリ、あんな殺伐とした殺風景で何もない
毎日の食事が血と死肉の星にはもう戻れないから 』
ここでメガデスの顔色が変わった。鬼のような赤だ。
『 ならば消えろ。この世から貴様は消滅するのみだ 』
『 上っ等!こっちは自分のチカラで何とかするわ!』