
シンディから発した光は幽体のように体から離れて
部屋の中央でフワフワと漂い、人の姿になっていく。
宇宙船内の作戦室は別空間となり闇に包まれていた。
しかし部屋は徐々に明るくなり、元の空間に戻った。
何だ…?黒い塊がシンディの前でひざまずいている。
『 マスター、何なりとご命令を 』 黒い塊が動いた。
『 え?こ…子供ぉ? 』 シンディは呆れた顔で言った。
黒いフードつきマントを着た、赤髪の女の子がいる。
髪はロングで、身長と同じ大きさの鎌を持っていた。
『 おお〜、いきなりですか。大した潜在能力ですね 』
部屋のモニターに映るDJドクロは感心して言った。
召喚獣には見えないな。何か特殊な召喚キャラか?
シンディは彼女をしばらく黙って見てから質問した。
『 …名前は?』 彼女は静かに顔を上げる 『 ネクロン 』
『 ネクロマンサーのネクロンと申します、マスター 』
ネクロンは立ち上がるとうやうやしくお辞儀をした。
そして大鎌を両手で持ち上げて、高速で回転させる。
彼女の頭上で回る鎌が悲鳴のような風切り音を出す。
『 ゾンビでもスケルトンでもお好きな死霊をどうぞ 』
高速回転する鎌が青白く光り、死霊が集まってきた。
死霊使い、だと?いきなりそんなの召喚できんの?
シンディは冷静な表情でその光景を眺めて言った。
『 じゃあゾンビ3体、スケルトン2体、なるはやで 』
まるでデリバリーピザでも頼むかのような命令だな。
『 了解です 』 ネクロンの足元から死霊が湧いてきた。
『 そしたらそいつらに宇宙船の掃除をさせといて 』
『 …分かりました。彼らの活動時間は30分間です。
それを超えると元の世界に戻るのでご注意下さい 』