
モニター画面にザザッ、ザザッと白いノイズが入る。
タイムトラベル中の受信なので感度が悪いようだ。
しかし、乱れた映像でもそれが誰かすぐに分かった。
『 よう 』 『 ポレスリーさん、お久しぶりです 』
最近まで地球にいたシンディの元バンドメンバーだ。
エルヴィス・ポレスリー、今は故郷の星に戻って
セクシーコマンドーのインストラクターをしている。
僕は通信機の受信感度を上げた。多少画質は粗いが
さっきよりだいぶ良くなった。 『 どうしました?』
急に連絡がくるのは珍しい。何かあったのだろうか。
ポレスリーさんは険しい顔になった。 『 お前たち… 』
『 今どこにいる?』 水を打ったような沈黙が流れた。
タイムトラベル中です、なんてこと絶対に言えない。
宇宙法で無許可のトラベルは重大な犯罪行為なのだ。
『 あ、あ〜、今は地球の田舎を船で飛んでますよ 』
言った瞬間、僕はすぐ後悔した。ポレスリーさんが
わざわざこのタイミングで連絡してきて、さっきの
質問をしてくるなんて、もう答えは分かりきってる。
はぁ〜、とポレスリーさんは深いため息をついた。
首を振りロカビリー風のリーゼントが左右に揺れる。
黒いサングラスの奥の瞳が鋭く光った。『 あのな… 』
『 お前たち、指名手配されてるぞ 』
ポレスリーさんはそう言って、画像を大きく映した。
僕と、シンディ、ディランが掲載された手配書だ。
「 WANTED 」 とタイトルがデカデカと書いてある。
マジか…何でこんな銀河の片田舎のことがバレた?
地球なんて銀河パトロールの管轄外じゃないのか?
シンディは腕を組み冷静に言った『 誰かの通報ね 』