
・・・この女、ついに開きなおりやがった。
案の定、北斎やお栄さんたちは呆気にとられている。
『 み、未来って何です?』 北渓さんが恐る恐る聞く。
『 ・・・ 』シンディは仁王立ちしたまま腕を組んだ。
この時代に未来という言葉は一般的ではないようだ。
彼女は指を2つ立てて言った。『 200年後のこと 』
ここで部屋の空気がザワついた。異様な空気になる。
しかし、誰も言葉を発しなかった。無理もないか。
『 オーケー、オーケー、1個ずつ証明してくから 』
彼女は場の空気をなだめるように両手を上下に振る。
そして唐突に将軍を指差した。『 元に戻りなさい 』
『 え…でも 』将軍に化けたディランは戸惑っている。
『 早く! 』 シンディは有無を言わせずに命令した。
その迫力に押され、ディランが元の姿に戻っていく。
将軍の体が白い水蒸気に包まれ、白髪の女性になる。
その光景を北斎たち3人は目をむいて凝視していた。
これで作戦は完全に終わりだ…何が目的なんだ一体。
『 ごめんなさい、ごめんなさい… 』 元の姿に戻った
ディランは白い着物の裾で涙を拭いながら謝罪した。
『 もののけ、か?』 北斎は正座を崩しあぐらをかく。
アゴ髭を撫でながら興味深そうにディランを眺めた。
『 違う 』 シンディは即座に答えるとスマホを出した。
そして、部屋を見回して何もない壁の方を確認する。
『 うん、ここかな。アゲちゃん、準備オーケー?』
スマホから光が出て壁に当たり、画面が表示された。
『 OKです 』 スケルトンDJが壁一面に大きく現れる。
プロジェクターを使ったプレゼンでも始めるのか?
『 富嶽三十六景!凱風快晴 』 彼女は力強く命令した。