
『 あっちです!』 振り向くと麟太郎が2人の侍を連れ
こちらに向かって走っていた。チクりやがったな。
となると、あの2人は町奉行か。捕まるとマズいな。
3人の走るスピードは早く、どんどん近づいてくる。
こちらとの距離はおよそ500m、ちょっとヤバいな。
『 ディラン!逃げるぞ!馬だ!』 『 分かりました!』
僕が叫ぶやいなや、彼女は再び馬の姿に変化した。
僕は馬の背中にまたがると、ドローンを呼び戻す。
そのまま低空飛行し、今度は龍の3D映像を出した。
それを向かってくる3人の方へと勢いよく飛ばす。
麟太郎たちはギョッとした顔になり、立ち止まった。
全長5mもある龍が彼らに向かって叫び、火を吹く。
『 う、うわぁ〜〜!』 3人は逆の方向に逃げ出した。
ドローンの追跡機能を10分間オン。よし、帰るか。
『 オバちゃーん!ありがとー!』
馬に乗って草原を走り、僕は茶屋に向かい手を振る。
オバちゃんもこちらに気付いて手を振ってくれた。
来た道を馬に乗って戻る。太陽が西に傾いてきた。
そろそろ14:00を回るくらいの時間になるだろうか。
この時代は街灯が無く、日が暮れると真っ暗になる。
遅くとも夕方までに宇宙船に戻らなければならない。
とはいえ、このスピードなら充分に間に合いそうだ。
走る速度は時速50km位か、歩きとは比にならない。
車の無い時代に人が馬に乗ってた理由がよく分かる。
僕が気分よく快走していると、向こうから何かくる。
ヤバイ、あの大名行列だ。僕は三度笠を深く被った。
出来るだけ目立たないように馬の速度を少し下げる。
すれ違いざま、侍がこちらの方をジロジロ見てきた。